製作期間

次に製作期間ですが、既に出来上がった作品で、依頼主が気に入るような物が有る場合は別として、刀鍛冶が注文をもらってから製作にかかると、当然少し時間がかかります。先ず刀鍛冶が刀を作ります。これが常に思うような作品ができるとは限りませんから、中には一年以上かかってしまう場合も有ります。

次に、研ぎ師さんに研いでもらったり、鞘師さんに鞘を作ってもらったり、白金師さんにハバキを作ってもらったりと云った他の織方さんに仕事をしてもらわなければいけません。これに数カ月かかります。

更に、刀が完成すると各都道府県の教育委員会で刀の登録審査を受けます。登録がとれなければ、いくら立派な刀が出来ても、依頼主に刀をお渡しする事が出来ません。でも、地方によってはこの登録審査が年に数回しかない所も有り、ここでまた数カ月待つ事も有ります。
(刀鍛冶は刀を売って飯を食っているのですから、作った刀が何ヶ月もお金にならないのはひどい話ですね。幸い私の住んでいる兵庫県は毎月登録審査が有るので助かっていますが。)
このような事情で、刀鍛冶の世界では注文を受けてから、依頼主に作品を渡すまで一年位かかってしまう事はよく有る事です。何事にもせっかちな現代の人にはちょっと待切れないかも知れませんが、そこの所は宜しく御理解下さい。

ちなみに私の場合は、製作に当たっては、1年から2年くらいの期間を見てもらっています。又、良い作品が上がらなかった場合はもう1年遅くなる場合も有ります。刀の出来の善し悪しは焼き入れで大きく左右されますし、更にその後、上にも書きましたように、刀が完成するまでには何人もの職人さんの手を借りなければなりませんので、製作にかかる期間も長くなります。
それから私の所では、出来上がった作品は御注文のお客様に御覧頂き、気に入って頂ければ登録を取り、残金と引き換えでお客様にお渡ししますが、お気に入り頂けなかった場合は、次の作品の製作にかかります。この場合、価格は据え置きで、作り直しをさせて頂くことになりますが、又一年近く待って頂くことになります。ちょっと気の長い話ですが悪しからず.... 。

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